ハイボールという存在は、かつては「食後のカクテル」という雰囲気でしたが、だんだんと「食事中にごはんといただくもの」に変化していきました。
ハイボールの持つさわやかさ、甘み、そしてほんのりした苦み、複雑さが、さまざまな食材、調理法と合うということに気がついたからです。
炭酸のもつさわやかさが揚げ物やソース系の食べ物、たこ焼きだとかお好み焼きにピッタリ来るというのはご想像の範疇かもしれませんが、最も合う素材と言えば「スパイス」かもしれません。唐辛子、こしょう、山椒、クミン、カルダモン、さらにスパイス系の食材、食べるラー油だとか豆板醤、コチュジャンなども合います。その刺激的な辛さを、ハイボールの爽やかさと甘みが打ち消してくれ、一口食べることに、リセットされます。スパイス系のごはんといえば、韓国料理、インド料理、タイやインドネシア、モロッコ料理など。ハイボールとともに口に含むと、複雑さが増して、おもしろい味が生まれるのです。
お肉料理も、とてもよく合います。こちらは脂っこさを炭酸が流し、肉の甘みとウィスキーの甘みがマッチするから。ステーキ、ローストチキン、唐揚げ、ラムのグリル、豚のローストと、ミートボール、例をあげだしたらつきないほど、お肉と合います。同時に、複雑なうまみをもつ料理も、ハイボール向き。例えば鍋。様々な食材がひとつの鍋でマリアージュしているわけですが、そんな味わいが複雑なハイボールに合う。お酒とごはんのマリアージュは、互いに「あるところ」を探しだし、交わり合い、刺激し合い、かつリセットし合うという、良き人間関係に似たところにあります。さらにハイボールという飲み物は、口のなかをリセットし続けても人のお腹にとどまらず、水分として流れてしまうところに、その利点があるとも言えます。
ハイボールとごはん。ワインとごはん、ビールとごはん、焼酎やお酒とごはんに比べると新しいジャンルですが、本当におすすめのマリアージュです。ぜひ、お試しを。