サントリー健康飲料の研究について

研究の歴史 2.「おいしさ」と「健康」の研究成果が
商品へつながる

1990-2010年代
「健康」をテーマにしたポリフェノール研究が実を結ぶ
ポリフェノールにいち早く着目した研究は、「健康」というテーマのもとで抗酸化・抗肥満という新たな機能を発見しそのメカニズムを解明していきます。
人々の健康に対する意識の高まりの中で、ポリフェノール研究を生かした商品の開発が進められ、おいしさとともに健やかな毎日に貢献する健康飲料が次々に誕生していくことになります。
研究の歴史 タイムライン 1990-2010年代
  • ※1 OPC:オリゴメリックプロアントシアニジン
  • ※2 OTPP:ウーロン茶重合ポリフェノール

❺ポリフェノールの抗酸化作用の発見で、フレンチパラドックスを解明

ポリフェノールの抗酸化作用の発見で、フレンチパラドックスを解明

21世紀の社会問題を予見して、「健康」をテーマにしたポリフェノール研究を進めていましたが、まだポリフェノールといえば渋みや苦みのもとという認識が一般的で、その健康機能は、ほとんど注目されていませんでした。そんな中1994年(平成6)、サントリーと国立健康・栄養研究所が発表した共同研究の成果が、世界の注目を集めます。

赤ワインがよく飲まれるフランスでは、脂肪摂取量が多いにも関わらず、なぜか動脈硬化の患者が際立って少ないという「フレンチパラドックス」といわれる不可思議な謎があり、その謎の答えが、赤ワインポリフェノールの動脈硬化予防効果にあると示した内容です。つまり、赤ワインを飲むとポリフェノールの働きによって、血中の悪玉コレステロールの酸化が抑えられることが判明したのです。これをきっかけにして、日本国内では赤ワインブームが巻き起こるとともに、ポリフェノールの効能研究が大きく加速することになるのです。

❻赤ワインポリフェノールの抗酸化研究がフラバンジェノールにつながっていく

探究心と技術で、”素材から成分へ”未知の世界を拓く

「フレンチパラドックス」を解明した後、ポリフェノールの研究を進めることで構造をより細かく分析できるまでに研究は進展。ついに、赤ワインポリフェノールの中に含まれているOPC(オリゴメリックプロアントシアニジン)が、健康成分であることをつきとめたのです。商品化に際して、OPCが含まれる素材(原料)がさまざまある中で、「お茶飲料」としてのおいしさを考慮し選ばれたのはフラバンジェノールでした。

フラバンジェノールは、フランス南西部に生育している海岸松の樹皮から抽出されたポリフェノールで、当地では古くから健康に良いと伝えられていました。サントリーは、抗酸化力の強いフラバンジェノールの研究を九州大学や東京女子医科大学と共同で進め、健康維持に特に役立つことを解明し発表。2003年(平成15)、健康維持をサポートする新しいタイプの緑茶飲料として、フラバンジェノールを配合した「フラバン茶」を発売しました。

※フラバンジェノールは登録商標です。

❼ウーロン茶ポリフェノールから抗肥満作用のある成分を見つけ出す

おいしさに深く関わる成分、ポリフェノールに着目

「サントリーウーロン茶」は1981年(昭和56)に発売され、「武夷岩茶(ぶいがんちゃ)」をベースに、日本人の嗜好に合った味わいで親しまれていました。中国では、ウーロン茶は古くから健康に良いとして愛飲されていましたが、具体的にどの成分が有効なのかは解明されていませんでした。

サントリーは、1990年代に入ってからウーロン茶ポリフェノールの本格的な研究を開始。最初に解明したのは、ウーロン茶に含まれるポリフェノール(サンウーロン)に虫歯を防ぐ効果があることでした。その後も複雑で数の多いウーロン茶ポリフェノールを研究していく中で、注目したのがOTPP(ウーロン茶重合ポリフェノール)です。緑茶のカテキンはごく小さなポリフェノールですが、OTPPはウーロン茶ならではの半発酵というプロセスを経て、複数のカテキンが結合した特徴的な構造を持っていたのです。

そして2002年には、OTPPが脂肪の吸収に関わる酵素を強く抑えることを見出しました。つまり、OTPPの働きによって脂肪の吸収が抑えられ、食品中の余分な脂肪が吸収されずに体外に排出されるメカニズムを明らかにしたのです。この研究成果は、2006年(平成18)にトクホ(特定保健用食品)として発売された「黒烏龍茶OTPP」に結実します。

❽ケルセチンの強い抗肥満作用を発見

ポリフェノールを21世紀の研究テーマに掲げて

抗肥満には大きく2つの作用があります。まずひとつは、体に入ってくる脂肪を抑制・阻害すること。そしてもうひとつは、体についてしまった脂肪を分解・燃焼することです。「黒烏龍茶」は、食事と一緒に飲み、食事の脂肪の吸収を抑えるものですが、すでに体についてしまった脂肪に働きかける、肥満に悩む人たちに貢献できる健康成分はないか、新たな探索が始まりました。

約1年かけて健康成分の探索を進めた結果、体脂肪を分解することで減らすことができる効能を有し、かつ、お茶としてのおいしさの条件を満たすケルセチンを見出すことができました。

ケルセチンは、多くの食品に含まれるポリフェノールの一種で、これまでに多彩な生理作用をもつ成分としてよく知られていましたが、人に対して強い抗肥満作用を示すことは、意外な発見でした。

ケルセチン配糖体が脂肪分解酵素を活性化させることで体脂肪を減らすメカニズムは、サントリーが世界で初めて解明しました。有効性・安全性の検証、申請などを経て、約7年がかりで2013年(平成25)の「特茶」発売に至りました。

※ケルセチン配糖体とは、ケルセチンを酵素反応を利用して水に溶けやすく、体内への吸収効果を高めたものです。

次々に誕生する商品の背景には100年以上にわたる研究の積み重ねがあります。サントリーの研究所では、お客様の役に立ち喜んでいただける商品を生み出すために、さまざまな研究が続けられています。
おいしさと健康を求めて、私たちの探究はこれからも終わることはありません。