サントリー健康飲料の研究について

トクホ飲料開発の流れ

健やかな毎日に貢献するトクホ(特定保健用食品)の商品をお客様にお届けするために、さまざまなプロセスを重ね開発に取り組んでいます。また、長く飲み続けていただけるように、発売後も検証・研究を継続して行い、商品をさらに進化させています。

開発流れの図

❶素材探索(関与成分)

素材探索(関与成分)

まず、お客様のどんな健康上の悩みに応える商品を開発していくかを検討します。そして、その健康上の悩みを解決するために、候補となる素材を探していきます。逆に、日々の研究の中から有望な素材を見つけ出し、それをもとに商品を企画・開発していく場合もあります。

有望な素材とはつまり、効果が期待でき、かつ安全であることはもちろんのこと、自然由来でお客様に安心しておいしく味わっていただける素材であることです。その上で、いつでもおいしく飲み続けていただけるように、素材が溶けやすいかどうか、味にどのくらい影響するかどうか、安定的な品質を保てるかなど、有効性だけでなく飲料として適した成分であるかという点も重要なポイントになります。

長い年月をかけて培ってきた自社の研究データや、論文などの学術情報、国内外で催される学会・展示会で得た情報などを参考にしながら、素材探索を進めていきます。

こうして、さまざまな切り口から見つけた有望な素材は、実用化に向けた検証を経て、約2年がかりで商品を開発する段階へと進んでいきます。

❷素材機能研究

素材機能研究 ※ヒト試験は、未成年者、妊婦・授乳婦は対象ではありません。

適した素材を見つけたら、その安全性と有効性を詳細まで確かめデータ化していく必要があります。ここで、最も大事なのは安全性試験のデータとヒトでの有効性の証明です。最終製品を使ったヒトでの試験において、安全、かつ効果を得られることを示さなくてはなりません。

また、有効性とその作用のメカニズムは、トクホとして申請するためにしっかり定義づけできる確証の取れたものでなければなりません。たとえば、体脂肪が減るかどうかを評価する場合には、最終的に人のお腹の断面をCTスキャンで撮影。脂肪の面積が減っているかどうかを実際に測定して検証します。これら試験も数年がかりで進めています。

素材の成分(関与成分)の有効性や安全性を確認するのと同時に、どのカテゴリー(お茶、水、コーヒーなど)で商品として出すのかを決め、飲料としてのおいしさ設計も並行して行っていきます。有効性を確保しながらおいしく、かつ飲み飽きない商品に仕上げる工夫を重ねます。また、商品名やパッケージなどで訴求したい効果・効能に関する表現についても、マーケティング、デザインなどの商品開発チームと連携しながら、申請のための書類づくりを進める必要があります。

❸申請・審査

申請・審査

申請には、お客様の健康維持・増進にどう役立つかという商品の意義、有効性・安全性を示す根拠データ、飲料の製造方法、品質保証・管理の方法、製造工場の情報など、提出する内容は多岐にわたります。それは幅10センチを超える分厚いファイルに相当します。申請の後、主に有効性と安全性、さらには品質保証の観点で審査が行われます。この審査は数ヶ月ごとに実施されるため、トクホの申請・審査にはこれらを考慮した上で、商品発売のタイミング、それに向けた製造準備など計画的に進める必要があります。

新しい成分や機能を申請する場合には、審査が慎重になり確認のやり取りも増えるため、許可までに相当な時間がかかります。たとえば、「黒烏龍茶」の際は申請から許可まで約2年でしたが、「特茶」の場合には、申請後、審査でさまざまな追加試験が必要となり、最終的には許可までに約5年もの年月を費やしています。

❹発売後の検証・研究

発売後の検証・研究

トクホ飲料は、健康維持・増進のために、お客様に継続して飲み続けていただきたい商品です。そのために、商品の発売後も常にお客様からいただく声に耳を傾けながら、検証や研究を続けています。

「黒烏龍茶」の場合には、発売後も試験を重ね、新たな効能を加えています。発売時は「脂肪の吸収を抑え、食後の血中中性脂肪の上昇を抑える」という効能でしたが、その後、約6年にわたる研究期間を経て、継続して飲用すると「体に脂肪がつきにくい」ことが実証され、新たな効能として加えることができました。また、より飲み飽きない味わいにするために、新たな茶葉を配合するなどしておいしさも進化させています。こうした効能の追加や味わいを変更する場合には、その都度、申請・審査が必要になり、多くの時間を要します。

健康に関するトレンドなどさまざまな動向をキャッチアップしながら、検証・研究を続けていく中で新たな発見が生まれます。その小さなタネをもとにして、お客様に新たな価値を感じていただける商品の開発に取り組んでいきたいと考えています。