立山を代表する華麗な橋渡り儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」がサントリー地域文化賞を受賞しました!
立山を代表する華麗な橋渡りの儀式、「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」をご存知ですか?このイベントを主催する「布橋灌頂会実行委員会」が「第36回サントリー地域文化賞」を受賞しました!
サントリー文化財団が地域文化の発展に貢献した個人や団体を顕彰する「サントリー地域文化賞」。全国の地域文化活動の発展・向上を応援したいという想いから、音楽、美術、歴史・伝統継承、国際交流などの活動を対象に顕彰しています。第36回目となる今年は、全国の5団体が受賞しました。
その受賞団体のひとつが、富山県の「布橋灌頂会実行委員会」。
立山が女人禁制だった江戸時代に、極楽往生を願う女性の救済のために行われた儀式「布橋灌頂会」を130年以上の時を超えて復活させ、立山信仰を代表するイベントとして新たに発展させていこうとする取り組みが注目されました。
立山は、雪溶けしない山頂や、有毒ガスの噴出する「地獄谷」などその特異な景観が仏教と結びつき、古くから崇められてきた霊山。立山信仰として多くの人が訪れましたが、女人禁制により女性は入山を許されませんでした。
そんな女性たちを救済したのが、立山へ登り口となる芦峅寺(あしくらじ)集落で行われる「布橋灌頂会」です。編みがさをかぶった白装束姿の女性たちが目隠しをしたまま、「あの世(山)」と「この世(村)」の境とされる布橋を渡ることで、極楽往生を願うことを可能にしました。
布橋灌頂会は、立山が女人禁制となった江戸時代後期に始まったとされていますが、明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で中断。1996年に国民文化祭富山において約130年ぶりに復活し、その後不定期に開催されていましたが、もっと多くの人に知ってほしいという地元の皆さんの熱い想いから、2011年からは3年ごとに行われるようになりました。
美しい癒しの世界が広がる「布橋灌頂会」
布橋の下を流れる「うば堂川」を"さんずの川"にみたて、「あの世(山)」である閻魔(えんま)堂で自らの罪を悔いた後、白装束に身を包み目隠しをした女性たちが、布橋を渡ります。
おごそかで幻想的なその光景は、思わず言葉を失う美しさです。
浄土へ至る白い道を意味する布橋に敷かれた
3本の白布と、目隠しをして渡る女性たち
女性たちは、目隠しによって五感のひとつが奪われることで、残された感覚が研ぎ澄まされ、心が落ち着くとか。さらに、目隠しを取った後に望む立山連峰は、いっそう神々しく感じるそうですよ。
この儀式の運営は、芦峅寺集落の住民360人(145世帯)の皆さんが総動員で行っています。
婦人会の皆さんは、女性への着付けや併催される「ごっつぉ祭り」で振るまわれる郷土料理の試食・販売を担当。ほっこり温まる名物"つぼ煮"などを振舞います。
男性たちは会場設営や当日の運営、郷土料理に用いる山菜採りを担当。また、子供たちも伝統衣装に身を包み僧侶と共に参列します。
※山菜たっぷりの名物"つぼ煮"
集落の皆さん全員の力で復活し、運営される「布橋灌頂会」。
神々しい立山連峰の大自然や、立山と共に生きてきた芦峅寺の奥深い歴史、また地元の皆さんの温かさを感じに、是非一度芦峅寺を訪れてみてくださいね♪
これからもサントリーは地域文化の発展を応援していきます!
▼関連リンク
・サントリー文化財団「地域文化賞」のサイト
・第36回 サントリー地域文化賞決定(ニュースリリース)