【第43回サントリー地域文化賞】東日本大震災で被害を受けた県内の民俗芸能団体の活動を支援する「民俗芸能を継承するふくしまの会」(福島・郡山市)
「第43回サントリー地域文化賞」に、東北地方から2団体が選ばれました!
今回は、そのうちの1つ、福島県郡山市を拠点に活動する「民俗芸能を継承するふくしまの会」を紹介します。東日本大震災で打撃を受けた福島県の民俗芸能の現状の調査、復活・継承のための各種支援に取り組み、芸能への支援を通じて、避難先で暮らす人々の「ふるさと」への思いを繋ぎとめています。こうした取り組みが高く評価され、「第43回サントリー地域文化賞」を受賞しました!
■「サントリー地域文化賞」とは
※写真は2019年の様子
サントリー文化財団が、地域の文化向上と活性化に貢献した個人や団体に顕彰する「サントリー地域文化賞」。音楽、演劇、美術、歴史・伝統継承、国際交流、コミュニティ活動などを対象に毎年評価・顕彰を行い、1979年の創設以来、本年度の受賞者を加えると230件を顕彰、受賞者は全都道府県にわたっています。第43回となる今回は、全国の5団体が受賞され、東北でも2団体が受賞しました!
■「民俗芸能を継承するふくしまの会」の歴史
※写真は2019年の民俗芸能の体験ワークショップの様子
福島県は「浜通り」「中通り」「会津」という気候風土の異なる3つの地方から成り立ち、個性豊かな神楽や獅子舞、田植踊(たうえおどり)などの民俗芸能が継承されてきました。しかし、2011年の東日本大震災と原子力発電所事故により、浜通りを中心に甚大な被害をうけ、約16万人が県内外への避難を余儀なくされました。生活の基盤が奪われ、地域の住民が守り続けてきた民俗芸能の継承も突如として危機に陥ったのです。
震災後、民間有志12人が「民俗芸能学会福島調査団」を組織し、独自に伝承者や指導者の被災状況、道具の被害についての調査を開始しました。翌年から民俗芸能保護団体の活動再開に向けた支援にも着手し、2015年に特定非営利活動法人「民俗芸能を継承するふくしまの会」が誕生しました。
■福島県から「民俗芸能復興サポート事業」を受託
2010年の調査では、福島県内には約800の民俗芸能の保護団体があり、浜通りにはそのうち430団体が存在するとされています。「民俗芸能を継承するふくしまの会」では、福島県から「民俗芸能復興サポート事業」を受託し、毎年約50団体を訪ねて、人材育成支援やネットワーク形成、行政との意見交換等を行っています。
県と協力して毎年開催する「ふるさとの祭り」は、民俗芸能披露の貴重な機会となっています。
さらに、継承に必要な衣装や諸道具の修繕・新調や記録撮影のため、主に文化庁の補助事業を活用し被災地の保護団体の支援をしています。これまでに交付された補助金は約1億6000万円にのぼり、被災地では70団体以上が活動を再開するにいたりました。
■民俗芸能を絶やさない、映像記録の取り組み
長引く避難や人口の減少などにより、現在も活動の継続が難しい団体には、映像記録を残す取り組みを勧めています。撮影が継続への意欲を高めることもあり、演者が集まることで、休止していた活動を再開するきっかけになっています。映像には演じる場面だけではなく、太鼓の打ち方や笛の指使い、着付けなども個別に記録しているので、後継者が映像を見て学べるだけでなく、活動が途絶えた場合にも、将来活動を復活させるための資料となっています。そのほか、次世代の担い手育成のため、地域の学校と保護団体の連携を呼びかけるなど、様々な形で活動継続に向けた働きかけを行っています。
祭りや芸能は、地域の人々の助け合いと協調の精神を育む核となってきました。とりわけ慣れ親しんだ土地を離れて暮らす人々にとっては、芸能は人々の心をつなぐ「ふるさと」そのものとなっています。地域の宝である芸能を未来に継承してゆくため、「民俗芸能を継承するふくしまの会」の活躍がより一層期待されています。
これからもサントリーは地域文化の発展を応援していきます。
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▼関連リンク
・サントリー文化財団「地域文化賞」のサイト
・第43回 サントリー地域文化賞決定 (ニュースリリース)