首都圏のおトクな情報が満載!首都圏エリア情報 首都圏エリアのイベントやキャンペーン情報をご紹介します。

お知らせ

2022/10/27

【第44回サントリー地域文化賞】「かいぼり」を水辺再生の手段として復活させ、現代的意義と楽しさを伝える先導者「生態工房」(東京都 ・武蔵野市)

ため池の維持管理のため、地域住民が定期的に集って、池の水を抜き池底の泥をさらって天日干しする共同作業「かいぼり」。かつては日本の多くの農村で行われていました。
近年テレビ番組などで注目を集めている「かいぼり」を、長年にわたり支援する活動を行っている認定NPO法人「生態工房」。池の水を入れ替えて外来種の駆除や、周辺も含めた生物多様性の回復と環境の保全を目的とする「かいぼり」を、自然との共生というテーマで、楽しみながら共に実践することで多くの人々に広めていることが評価され「第44回サントリー地域文化賞」を受賞しました!



■「サントリー地域文化賞」とは?

※2022年の贈呈式の様子

サントリー文化財団が、地域文化の発展に貢献した団体や個人を顕彰する「サントリー地域文化賞」。全国の地域文化活動の発展・向上を応援したいという想いから、音楽、美術、歴史・伝統継承、国際交流などの活動を対象に、1979年の創設以来40年以上にわたり、全国の地域文化活動を対象に評価、顕彰を行っています。44回目となる今年は、全国の5団体が受賞されました。

■「かいぼり」の歴史と「生態工房」の発足
「かいぼり」はかつて日本の多くの農村で行われていた共同作業であり、江戸時代の史料にも人々が楽し気に魚や生き物を捕まえる様子が描かれています。しかし、減反政策や農業従事者の減少によってため池の管理が行き届かなくなるなどした結果、この慣習は多くの地域で途絶えていきました。

1990年代になると、「かいぼり」は、水質改善や外来種駆除に有効とされるようになり、これらの課題を抱える公園や自治体などが池や濠で「かいぼり」を行うようになりました。

「生態工房」は、都立光が丘公園で自然保護区域の管理運営を行う任意団体として1998年に発足しました。活動を拡充する中で、生態系に悪影響を及ぼす外来種を駆除する「かいぼり」が生物多様性の回復にも効果が高いことを知り、都会の池での実践を目指すようになりました。2010年、外来魚と水質悪化が問題視されていた都立井の頭恩賜公園の井の頭池で、東京都が2013年度の「かいぼり」の実施を決定し、「生態工房」が、市民協働のコーディネートを委託されたのです!

■「生態工房」による市民協働の継続的な「かいぼり」の活動

認定NPO法人「生態工房」は、都立井の頭恩賜公園の井の頭池で市民協働の「かいぼり」を実施するにあたり、地域住民がやりがいを持ちながら楽しく参加することを目指しました。活動の核として「井の頭かいぼり隊」というボランティアメンバーを募り、準備段階から実施後の池の保全まで継続的に活動する仕組みをつくったのです。
池干し期間には池底探検ツアーの開催や、生き物を展示する解説所の設置、「かいぼり」の成果報告会の開催と、様々な人たちに「かいぼり」に興味を持ってもらう工夫を凝らしました。都会の多くの住民にとって、「かいぼり」によって絶滅したと思われていた水草の復活や、都内でも希少なトンボや水鳥の巣づくりを間近で見られるようになったことは新鮮な驚きで、「かいぼり」の意義と池の価値をあらためて知る機会となりました。

この井の頭池での活動が、地域住民と共に行う生態工房流の「かいぼり」のモデルとなり、井の頭池では2015年度、2017年度にも「かいぼり」を実施しました。また、ボランティアの「井の頭かいぼり隊」によるモニタリングや来園者向けの自然ガイドツアーなどの活動を継続しています。

「生態工房」が行う「かいぼり」のキャッチフレーズは「よみがえれ!わたしたちの池」。「かいぼり」の復活は、地域の水辺が住民同士の繋がりを保ち、身近な自然を見つめ直すというかつての役割を取り戻すことにもつながっているのです。古くて新しい水辺の楽しみを伝える先導者として、「生態工房」の今後一層の活躍が期待されています。

これからもサントリーは地域文化の発展を応援していきます。

▼関連リンク
サントリー文化財団「地域文化賞」のサイト
第44回 サントリー地域文化賞決定 (ニュースリリース)



タグ サントリー地域文化賞
他のエリアを見る
地域情報トップへ

ページの先頭へ