【第40回サントリー地域文化賞】沖縄楽器・三線の原料となる琉球黒檀・くるちを未来に伝える「くるちの杜100年プロジェクト」
沖縄文化を語る上で欠かせない沖縄楽器・三線(さんしん)。現在、三線の材料となる琉球黒檀(りゅうきゅうこくたん)・くるちが沖縄戦で多くを焼失してしまい原料不足となっています。100年後の未来に、三線を引き継ぐために発足した「くるちの杜100年プロジェクトin読谷」。三線を未来に伝えるさまざまな活動が評価され、今回「第40回サントリー地域文化賞」を受賞しました。
■「サントリー地域文化賞」とは
※昨年の授賞式の様子
サントリー文化財団は、全国各地に広がる芸術、文学、伝統の保存・継承、衣食住での文化創出、環境美化、国際交流などの活動を通じて、地域文化活動の発展・向上に貢献した個人や団体に「サントリー地域文化賞」を贈呈しています。音楽、美術、歴史・伝統継承・国際交流など、様々な活動をしている団体に顕彰しており、1979年の創設から30年以上続けてきました。
2018年、沖縄県では「くるちの杜100年プロジェクトin読谷」が受賞しました!
■くるちの杜100年プロジェクトin読谷
沖縄の伝統芸能に欠かせない楽器三線。最近では、民謡だけでなくポピュラーミュージックなどでも取り入れられ老若男女幅広い世代に愛されています。しかし、三線の棹(さお)に使用する琉球黒檀・くるちは、沖縄戦でその多くを焼失してしまい現在は輸入材に頼っています。
さらに、くるちは非常に成長が遅い木で三線の棹に使用できるのは100年以上の樹齢のものに限られます。
こうした現状を知ったミュージシャンの宮沢和史さんが発起人となり、かつてくるちの植林をしていた読谷村(よみたんそん)に「くるちの杜をつくろう」と2012年に発足したのが「くるちの杜100年プロジェクトin読谷」です。
地元の商工会や観光協会、文化協会、古典音楽各会派の長、沖縄県三線製作事業協同組合の方々が賛同し、活動をスタートしました。
■くるちを未来に引き継ぐ取り組み
年1回の植樹祭・育樹祭を開催のほか、「くるちの杜音楽祭」やくるちと三線に関するシンポジウムやワークショップなどさまざまな活動を実施。理解者や協力者の輪が広がり、これまでに約3,000本のくるちを植えました。
毎年の植樹祭・育樹祭に合わせて、琉球古典音楽から民謡、ポップス、ロックのプロやアマチュアの三線奏者が出演する「くるちの杜音楽祭」を実施。
■継続的なさまざまな活動
植えた苗木を守るため、月に1度草刈りをしています。毎回、読谷村だけでなく県内外や海外から集まった約70名のボランティアが、沖縄の厳しい太陽の陽差しの中で、懸命に作業を行っています。
・「おでかけくるちの杜講座」
地元の小中学校や高校を中心に、発起人でもあるミュージシャンの宮沢さんたちが訪れ子どもたちに活動を紹介し、三線文化の継承や発展を伝えていく「おでかけくるちの杜講座」を定期的に開催しています。
「くるちの杜100年プロジェクトin読谷」は、くるちの研究者や、琉球古典音楽を教える沖縄県立芸術大学とも連携して、三線文化の継承や発展のよりよい方法を模索しながら活動を続けています。
また、現在は読谷村の1箇所のみの植林ですが台風や病害虫により全滅してしまう恐れもあります。三線の聖地である読谷村から始まった「くるちの杜づくり」を、沖縄県全域に広げていく計画も進行中です。
沖縄の伝統芸能に欠かせない三線の音色が、100年先の未来でも続くことを願いたいですね。
サントリー文化財団は、これからも地域文化の発展のための活動を応援していきます!
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