【第46回サントリー地域文化賞】絵本の魅力を伝える原画展で絵本文化の向上に貢献「たかさき絵本フェスティバル」(群馬県・高崎市)
群馬県高崎市で毎年冬に行われる「たかさき絵本フェスティバル」。会期中、会場の高崎シティギャラリーの展示室には色とりどりの絵本原画が並びます。絵本と子どもたちへの愛が溢れる空間には、毎年たくさんの人々の笑顔があふれています。絵本を通して地域の文化向上に貢献している点が評価され、「第46回サントリー地域文化賞」を受賞しました。
■「サントリー地域文化賞」とは
※贈呈式の様子
サントリー文化財団が、全国各地で展開されている芸術、文学、伝統の保存・継承、衣食住での文化創出、環境美化、国際交流などの活動を通じて、地域の文化向上と活性化に貢献した団体、個人に、毎年贈呈している「サントリー地域文化賞」。1979年の創設以来、第46回の受賞者を加えると245件を顕彰しています。
■絵本の魅力を伝えたい!熱意と愛情に満ちた原画展
「たかさき絵本フェスティバル」では、毎年5~6作品、100~150点の原画が飾られます。「絵本を読むように原画を楽しんでほしい」という想いから、表紙と裏表紙を含む全ての原画を展示することにこだわっているそうです。子どもの目線に合わせて低い位置に飾られた原画には、絵本の文章も添えられています。
フェスティバルを率いるのは、高崎市で絵本書店を営む續木美和子(つづき みわこ)さん。「東京ではなく、地元高崎で家族や友人と芸術鑑賞をしたい」と、仲間とともに「時をつむぐ会」を結成しました。「時をつむぐ会」が中心となって開催した1995年の第1回原画展以来、長年にわたり様々な作品・作家の絵本原画を紹介し続けてきました。
■展覧会は一年がかりの大仕事
展示する絵本の選定から始まり、絵本や作家についての勉強会を重ねながら、時には出版社にも訪問して原画の貸し出し交渉や展示内容の検討を一年かけて進めていきます。展示室の照明や什器の設置も、プロの手を借りながらも自分たちで行い、チラシや展示パネルもデザインが得意なメンバーが作成しています。
会期中にはメンバーらが展示室に常駐し、来場者に作品や作家について解説しながら、会話を楽しむそうです。また、作家や出版関係者によるトークイベントも開催し、会場では絵本の販売も行います。
■絵本を愛する気持ちが地域に広がり、繋がっていく
續木さんたちの熱い思いは展示室だけにとどまらず、地域の中にも広がっています。会期中には市内の花屋や飲食店、美容室や映画館に協力を依頼し、メンバーたちが選んだ絵本を詰め込んだ「まちなか絵本ぼっくす」を設置。その場で絵本を読むことができるほか、展覧会チケットの購入もできる仕組みです。また、公立図書館がその年の原画展の内容に合わせた特設コーナーを設けることもあるそうです。
メンバーたちの「絵本が好き」という強い想いが織りなす「たかさき絵本フェスティバル」。子どもたち、作家、編集者、絵本を愛する全ての人々をつなぐ存在として、この先も続いていきます。
これからもサントリーは、日本の地域文化を応援していきます!