【第46回サントリー地域文化賞】自然の猛威を伝え人のつながりを育む「えちごせきかわ大(たい)したもん蛇(じゃ)まつり」(新潟県・関川村)
村の全集落が協力してつくる大蛇が村中を練り歩く、水害の記憶を継承するユニークなまつり「えちごせきかわ大(たい)したもん蛇(じゃ)まつり」。全長82.8メートルにもわたる大蛇みこしのパレードは圧巻です。自然の猛威を伝えながら、人の交流を生み出している点が高く評価され、「第46回サントリー地域文化賞」を受賞しました。
■「サントリー地域文化賞」とは
※贈呈式の様子
サントリー文化財団が、全国各地で展開されている芸術、文学、伝統の保存・継承、衣食住での文化創出、環境美化、国際交流などの活動を通じて、地域の文化向上と活性化に貢献した団体、個人に、毎年贈呈している「サントリー地域文化賞」。1979年の創設以来、第46回の受賞者を加えると245件を顕彰しています。
■「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」
新潟県の北東に位置する関川村は、18世紀のまち並みが残る人口約5,000人の村。1987年に、過疎化が進む関川村が、若者を対象に人材育成を行う「せきかわふるさと塾」を開塾しました。その後、塾生が中心となって全村民が参加できる新しいイベントとして1988年に開催したのが「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」です。
関川村には「大里峠(おおりとうげ)」という、川をせき止め村を湖にしようとする大蛇の伝説があり、これまで何度も水害に見舞われています。なかでも1967年8月28日に発生した羽越(うえつ)大水害の被害は甚大で、まつりではこの大水害の記憶を継承するため、大蛇の長さを災害発生の日にちなんで82.8メートルとしました。
巨大なヘビの胴体を54のパーツに分け、村内54の集落が分担して竹とワラを使って作ります。それらを組み合わせた巨大な大蛇みこしはまさに圧巻!現在の大蛇は9代目で、ヘビを新装するたびに村の特産品である米の稲わらを使って、全集落が協力して完成させます。
■「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」を次世代へと継承するための取り組み
2001年には「竹とワラで作られた世界一長い蛇」としてギネス世界記録にも認定されました。かつての「せきかわふるさと塾」のメンバーは、現在、村や地域の中枢を担う人材に育ち、新しい世代がまつりを支えています。
約2トンの大蛇みこしを担ぐには500人もの担ぎ手が必要ですが、村出身の学生が、国際ボランティア学生協会(IVUSA)に呼びかけたことがきっかけとなり、現在では、毎年8月に約100人の学生が大蛇パレードのために村を訪れ、村民との交流が生まれています。
防災の観点からも、地域コミュニティの役割は年々大きくなっています。過去の水害の教訓を継承しながら、人のつながりを生む「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」は関川村の大きな財産です。
これからもサントリーは、日本の地域文化を応援していきます。