【第42回サントリー地域文化賞】佐渡の「文弥(ぶんや)人形」の魅力を国内外への発信!継承発展に尽力した人形浄瑠璃「猿八座」(新潟・新発田市)が受賞しました!
新潟県佐渡島に伝わる一人遣いの人形劇「文弥(ぶんや)人形」。新潟県新発田市(しばたし)の人形浄瑠璃「猿八座」は、佐渡島発祥の「文弥人形」を受け継ぎながら新たな挑戦を続けています。この度、郷土に伝わる芸能を継承するとともに、古浄瑠璃の復活上演などを通して国内外に人形浄瑠璃の魅力を発信している点が高く評価され、「第42回サントリー地域文化賞」を受賞しました!
■「サントリー地域文化賞」とは?
※写真は、昨年の様子
サントリー文化財団が、地域文化の発展に貢献した個人や団体を顕彰する「サントリー地域文化賞」。
全国の地域文化活動の発展・向上を応援したいという想いから、音楽、美術、歴史・伝統継承、国際交流などの活動を対象に、設立以来40年以上にわたり、全国の地域文化活動を対象に評価、顕彰を行っています。
1979年の本賞創設以来、全国すべての都道府県より受賞者が誕生し本年度の受賞者を含めて総数は225件に達しました。
42回目となる今年は、全国の6団体(うち1団体は特別賞)が受賞されました。
■佐渡の「文弥人形」の歴史古来より日本各地から人々が訪れ、多様な文化がもたらされた芸能の宝庫、新潟県佐渡島。この島には「文弥人形」と呼ばれる人形浄瑠璃が伝わっています。「文弥人形」とは、17世紀に大坂の岡本文弥が創始した「文弥節」に合わせて人形を操る人形芝居です。
文楽などの人形浄瑠璃は、三人で一体の人形を操作しますが「文弥人形」は一体の人形を一人の遣い手が操ることが特徴です。
佐渡島では、明治から大正にかけて「文弥人形」が盛んに演じられました。最盛期には島内に約40の座が存在していましたが、社会や娯楽の変化とともに衰退の一途を辿り、終戦後には存続が危ぶまれました。しかし、有志による保存活動が行われ現在は約10座の「文弥人形座」が佐渡島内で活動を続けています。
■新潟県新発田市の人形浄瑠璃「猿八座」の誕生「第42回サントリー地域文化賞」を受賞した新潟県新発田市の人形浄瑠璃「猿八座」の始まりは1979年。当時、大阪で文楽の人形遣いとして西橋八郎兵衛氏は修業を積んでいましたが、一人遣いの人形芝居「文弥人形」に惹かれ佐渡へと渡りました。初めは文弥人形の座に入門し人形の遣い方を学んでいましたが、「文弥人形の伝統を引き継ぎながら、他の芸能の要素も含んだ芝居にも挑戦したい」との想いで、1995年に自らの人形浄瑠璃の一座「猿八座」を立ち上げたのです。
■国内外に人形浄瑠璃の魅力を発信している「猿八座」の活動「猿八屋」は旗揚げ当初、佐渡島の猿八を拠点としていましたが2009年からは佐渡島から海を渡り新発田市に稽古場を設けました。新潟県内を中心に年間約20回もの公演を行い、2019 年の「第34回国民文化祭・にいがた2019」では9公演を演じ、いずれも満員御礼の大盛況でした。また、1998年のイギリスを皮切りに、これまで6ヵ国で10回以上の海外公演を開催するなど、人形浄瑠璃の魅力を国内外に発信しています。
「猿八座」が力を入れているのが、古浄瑠璃の復活上演です。古浄瑠璃とは、義太夫節よりも古い時代に成立した浄瑠璃で、現在では上演が途絶えた演目も多くあります。台本は残りながら、誰も演じることができない"幻の浄瑠璃"を「猿八座」は現代に甦らせています。変体仮名で書かれた台本を元に、稽古で使う台本をつくることから始まり、節をつけ、ようやく人形を手に稽古を始めることができます。これまでに復活上演した演目は7本で、「越後國柏崎 弘知法印御伝記(えちごのくにかしわざきこうちほういんごでんき)」や「山椒太夫」など、地元の新潟にゆかりの物語も含まれています。
古い時代の作品ではあっても「現代の人々にとって面白い舞台にしたい」と「文弥人形」を使いながらも文楽の振り付けや長唄の節なども取り入れるなど、新しい人形浄瑠璃の可能性を試行錯誤しています。
座長の西橋氏は、「人形浄瑠璃は堅苦しいイメージがあるが、本来は気軽に楽しむ芸能だった。文弥人形を博物館に展示するのではなく、芸とともに地域に伝えていきたい」と熱い想いを語っています。
郷土に伝わる芸能を受け継ぎながら新たな挑戦を続ける「猿八座」の芝居は、これからも多くの人々を魅了していくことでしょう。
これからもサントリーは地域文化の発展を応援していきます!
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